メソッド屋のブログ

米マイクロソフト Software Development Engineer 牛尾の日記です。ソフトウェア開発の上手なやり方を追求するのがライフワーク。本ブログは、個人の意見であり、所属会社とは関係がありません。

英語のプレゼンテーション作成のコツ(教えて!)

前のエントリが良く読まれたから便乗というわけではなく、実は下のポストを投稿したときに、森崎さんとFacebookでこの話題で盛り上がって、困るよね〜。という事で終わったので、良く知っている先生方に広く問いてみようとなりましたのでエントリしますww 教えて君だけだとまずいので、今のところの私のソリューションも書いておきます。


英語のプレゼンテーションをうまく作るコツを知りたい


 英語のプレゼンテーションというのは実に困るものです。特に私のように普段英語の仕事なんて全くないのに一年に一度〜二度ぐらい急に英語でプレゼンするようになったりここ数年はするようになりました。こういう時はいろいろ困ります。我々はネイティヴじゃないし、英語に囲まれて仕事をしている訳でもないので、自分の書いた英文が妥当かどうかさっぱりわからんということです。是非良かったら達人の皆さんのご意見をお聞かせください。私のケースの暫定解決策も一応載せておきます。よいお話がありましたら、このエントリに追記/共有させていただきます。私は3つの作戦を使っています


作戦1 翻訳厳禁/表現パクリ作戦


 英語プレゼンで悩ましいところは、自分が書いた表現がそれでいいかさっぱりわからないところです。しゃべって話ししているときなら、相手の反応をみておかしな表現したかな?と思ったときは「I mean...」とか適当に言い換えてしまえばいいだけなのですが、文字の場合、プレゼンの場合はそのまま残りますし、表現がイマイチだったら、気分を害したり、向こうの人にアホと思われたりしてしまうでしょう。例え内容が良かったとしても。これは単に文法が正しいとかそういう問題ではありません。例えば文法チェックだったら、こういうサービスがあります。


Grammar Checker | Grammarly


このサービスは書き英語の文法チェックをしてくれます。英文をガチで書く機会がもっと増えてきたら契約しようかなとか考えています。


文法があっているだけではうまくいかない


しかし、問題は文法としてあっているかどうかの部分よりも、むしろそうでないところが難しかったりします。技術用語でも、日本語から翻訳するとなんだかむちゃくちゃになったりします。私もたまにお客さんのところに行ってるときに、お客さんの海外拠点の重鎮がやってくるので急遽英文プレゼンを作ってとお客さんが頼まれるときに手伝うというケースがたまーにですがあります。こういうケースは、日本語で書かれたプレゼンを専門の人に英語翻訳してもらうというケースもありますが、そこから帰ってきたプレゼンをみると大抵むっちゃくちゃです。もちろん文法はあっていますが、例えば普段見慣れているAgileやUXのプレゼンでは決して見ないような単語が並んでいたり、日本語の意図を100%英語に翻訳するためだらだら長かったりします。多分翻訳された方が悪いとかではなくて、向こうからしたら、パワポを渡されただけなので、背景もわかりませんし、それを100%そのままの意味に翻訳するしかないからだと思います。


 だから、そういうケースは、私が頼まれたらまず、日本語を読んで意味を理解したら、日本語はわすれて、新たに英語で考え直す感じです。プロの翻訳の方がやったら違うと思いますが私のレベルでは無理という事もあるので、一から英語で考え直した方がよっぽど自然な感じになります。あと、もう一つテクニックがあって、出来るだけ実際にネイティヴが書いている表現を使ったり、真似たりします。つまりパクります。原書やインターネットの英語のプレゼンを参考にして、その表現や単語、言い回しを使うようにします。そうすればそれっぽい表現になります。時間はかかりますが、表現の勉強にもなりますし、そのようにしています。ただし、英語で論文を書く場合は、厳格に表現の使い分けが規定されているとのことで、そのようなケースだと、私のような手法を使うと逆効果の場合がありますので気をつけてください。


作戦2 師匠レビュー作戦


 作戦1を使うと、コンテキストに沿った、それっぽい英語表現を選択できるようになるので、翻訳よりはずっとマシになります。しかし、これでも悲しいかな、日本にいる私のような人間はまだまだ間違います。やっぱり、イケてる人にレビューしてもらうのが一番確実です。高級なご飯をおごっても価値があると思います。これは、師匠にレビューしてもらう前後の恥ずかしいスライドを抜粋したものです。日本語の元ネタがあるものはつけています。ちなみにレビュー前の部分で赤い色にしているのが、師匠に修正指示されたところです。あー恥ずかしい orz




例えば今回はスライドのタイトルを最初は「Agile Skill Set in Use Elementary 〜 A presentation for elementary programmers of Agile 〜」 向こうも英語は第二外国語なので英語の勉強テキストでよく使われているElementary/Intermediate/Advancedをつかって、レベルをあらわたかったので、若干シャレで、「Grammar in Use 〜 self-study reference and practice book for intermediate learners of English 〜」のタイトルをパクってつけたのです。でもコレだめとのことです。向こうではElementaryというのは、小学生のテキストとかに使うのはいいけど、普通だとバカにしとんのか?みたいな感じになるとの事です。そういえば最初に講演概要を出したときも向こうにいるネイティヴの英語使いの人に「タイトルは : Agile fundamental skill set」にしてくれない?と言われました。しかし、こんな事は英英辞書で調べても載っていませんでした。他にも、基本的には英語で書かれた原書を読み直して、その表現/単語を使うようにしましたが、どうしても自分で作文する部分があります。そうしたケースでも、私の師匠が言っていた事があります。

受動態を多用すると日本人っぽい


さすが師匠。私はなるだけ英語は英語で考えて英語で理解しようとしていますが、それでも母国語の影響はふんだんに受けます(笑)特に日本語の元ネタ資料があるときは、翻訳せずに英文を一から考え直しても受動態を多用してしまう傾向にあります。ちなみに今回は師匠の名前は公開しません。彼/彼女がレビュー地獄になっても困りますので。しかし私は大感謝です。他にも単純な文法ミスをしている部分、平鍋さんのブログにあったアジャイルのライトウィングと、レフトウィングの話しがいいなと思って、引用した部分で、Right Wing / Left Wingとあまり考えずに書きましたが、これは、とっても政治に敏感なところではまずすぎる表現ですね。恥ずかしいですが、私のミスった部分とその修正された部分を抜粋して公開してみます。うーん。恥ずかしいっす。修正は入った部分以外でも、新規で作った部分と、過去に日本語の資料があったもののページも一部つけておきました。やっぱり日本語で過去資料があった部分の英語はかっこ悪い、、、これでも一から考え直したんですが、、、時間がないからもうこのままで行きますけど、、、。


ともかく、師匠レビュー作戦はとてつもなく有効です!本当にありがとうございました。



作戦3 おれ、英語イマイチだからよろしく作戦


 これは平鍋さんに教えてもらった作戦です。実際にプレゼン始める前に「私は英語があまり上手くないけど、一生懸命やるから、みんな助けてくれないかな?」的な事を最初に言っておきます。その一言は結構強力で、そのままやったら「この野郎本当にちゃんと準備したのかよ!」とかなるところが「英語苦手なのに頑張ってるんだ。多分あそこの表現はイマイチだけど、仕方ないよねガンバレ!」となるわけです。これはソルトレイクで実感済みです。平鍋さんほんまありがとうございました。


結論の無い結論


 というわけで、私の作戦、そして私の恥ずかしいプレゼンのビフォア/アフターまで公開しました。本当に恥ずかしいです。しかし、私はもっと上手く英語のプレゼンが書けるようになりたいです。森崎さんが言ってくれたみたいに、英語の論文だったらもっとシビアで、表現が規定されていますので、真似作戦は通用しません。(コンテキスト間違えてたら終わりなので)、私はそこまでじゃないので、真似っこ作戦は有効かもしれません。師匠レビュー/英語イマイチですから作戦は上手く行くかもしれませんが、論文問題のカバーのためにはガチに何かの作戦をしないと難しいかもしれません。ですので、「俺こういういい作戦しってる」とか「こういうので勉強すればいいよん!」とか言う作戦があったら是非教えてください。私は師匠から教わったこの本を読んで、英語の技術プレゼン/書籍を沢山読む他はあまり思いついていません。是非皆様のお知恵を!


English for Presentations at International Conferences

English for Presentations at International Conferences

プレゼン作成の効率化について考えてみる

職業柄講演資料を作る事というのは結構多い。しかし、毎回困るのがホンマに時間がかかることだ。今回はベトナムで英語で講演という事がなんと1週間前に決まったので大慌てで作った。しかも日本とソフトウェア開発の事情が違うから一から作り直ししかも英語というわけで、結局2日徹夜した。


多分これは英語云々のお話ではなく私はそもそもプレゼンテーションを作るたびにこんな事をやっている。ホンマにしんどい。なんとか効率化できんものやろか?ということで、Facebook等でつぶやいているといろいろありがたいご指摘をいただいた。


私がプレゼンテーションに求める要件



 私がプレゼンテーションに求める要素は三つある。必要十分にシンプル/カスタマイズ可能/かっこよさだ。



 私はプレゼンテーションZENスタイルはあまり好きじゃない。すっごくかっこ良くて、プレゼンとして聞いている分にはとてもいいんだけど、後から見たらキレイさっぱり忘れている事も多いw。技術系の話をするのだから、絵+一行だけではなくて、多少なんか書いている方がいいと思う。そして、こっそりいうと、以外とカッコいい写真を選ぶのは時間がかかるのだ。仕上がりは凄くいいんだけど。逆に高橋メソッドも似たようなメリット/デメリットがあると思う。



 一方もちろん、字でぎっしりみたいなプレゼンも見るだけ辛いのであまり好きではない。それを読み上げるんだったら最初っから読んだ方がいい。適度に字や、説明があるけど、プレゼンテーションのページ1枚について、言いたい事一つとかが理想なのだろう。絵だったり、文字も織り交ぜながら、シンプルで、要約されていて、講演で聞けるプラスアルファが会って楽しいけど、資料見ても内容後で復習できるのがいい。そして、できれば見た目的にクールな感じだと更に良い。




 そして、カスタマイズ可能だが、私は毎回プレゼンを変える。何故かというと、見に来る人が違ったら、響くポイントが違うからだ。だから毎回ターゲットを考えて自分なりに見せ方を変えたり、強調するポイントを変えたりしている。




 三つ目のかっこよさ。はおまけなんだけどね、わかってるけど、かっこいいのがいいなぁ。そして速くつくりたい。




上記の要件を満たした人のプレゼンテーション

 
 私の好みでは、倉貫さんや、角さん、細川さんのプレゼンのバランスって素晴らしいと思います。こういった、シンプルだけど、絵だけでもなく、字だけでもないバランスをもったプレゼンを作る為には「要約能力」が必須になると思いますがこれらの方は本当に素晴らしい。先日もRunning Leanの角さんのプレゼンの完璧さにはびっくりしました。しかも、キレイで私も見習いたいなと思いました。マイクロソフトの長沢さんのプレゼンも毎回カッコいいし、整理されているし、隙がありません。あと、個人的にJeff Pattonのプレゼンはなんかクールさもあって、若干まねしていますww さぁ、こんな人々になるためにはどうしたらいいんでしょう?


どうすれば小さなチームでも大きな成果を出せるのか
Agile Chennai Keynote by Jeff Patton



私の場合

 
  今回の私の2日徹夜の行動を観察すると、コンセプト考えるのにマインドマップで考えて、大体こんな感じかな〜。と作り始めます。そして、最初に想定ターゲットを関係者にヒアリングして、関心毎や実践レベルなどを聞いてみます。その後、こういう想定の人が、このプレゼン聞いた後にこういう事を言ってくれたら嬉しい。というゴールを先に考えます。そして、大まかな枠を考えてプレゼンを作り始めるのですが、「あ、ここはストーリが通らない」とか、「あ、ここ原著ではどうかいてあったかな?どういう表現だっけ?」と思って原著をあさったり、日本語しかもってない本の場合、原著をKindleで購入してみたり。そして、つくっているうちに「あー、これじゃきっとわかりにくい」とか、やってるうちにどんどん時間がすぎていき結局2日徹夜。しかも1時間30分の講演なのに、50枚ぐらい資料ができていて、どう考えてもサイズにあってないので、この部分は資料にはいれるけど、説明しないとか、スケジュールとかも考えるわけです。そういった試行錯誤をむっちゃくちゃ繰り返すわけです。写真を取ってくる場合もまたコレが時間がかかったり、参考文献の内容を図で作成するときもこってり時間がかかります。


 効率が悪い部分として「過度な試行錯誤」「参考情報の確認/調査」「美麗な?デザインのまま試行錯誤」「本来不要な努力」「デザイン的な要素に過度に時間が取られている」とかがあるかもしれません。あと、私はキレイにみせたいので文字に「オブジェクト」をつかっていますので、それも遅さの原因かもしれません。上記に上げた人、特に日本人の皆さんは本当にシンプルにモノをつくっています。


 私は倉貫さんのいうとおり、「要領」が足りない気がします。時間があったらあっただけ、磨き上げにかけてしまいますが、これはムダな磨き上げです。


その努力を無駄にしないために、要領のいい仕事が出来るようになる考えかたとは | Social Change!


私の例の場合英語勉強法は複雑じゃないので、まぁまぁですが


英語勉強法の法則


技術系の講演だと、文字が多するかもです。実際にあとで見て分るようにというバランスが難しい。


アジャイルコンサルタントの秘密


大阪でこの前やってのは若干ましな感じではありますが


アジャイルツアー大阪



いづれにせよ毎回死にそうになりががら作ってるわけです。そろそろワークライフバランスを私に〜!!!!



ソリューションヒント

  
  そんな事をつぶやいていたら、長沢さんが自らのメソッドを書いたページを教えてくれました。長沢さんは私と同じくプレゼン作り派やのにプレゼン作りが早いという特徴があります。実際に内容を読んでみると素晴らしい内容です。ほんま有難うございます。大まかにいうと、コンセプトをかため、ラフスケッチ(ワイヤフレーム)状態で試行錯誤を繰り返したり、資料を明確にしたりします。そこが固まってから見た目に突入!なんとも効率的で素晴らしい。これは今の私の問題にぴったり。是非コレに慣れてみたい。



私の反復型プレゼン作成術



  昔読んだ本で良かったのはこの本。プレゼンに使うパターンのお話と、プレゼンのパターンをつかってキレイに速く書くという考え方。これはフレームワーク的な考え方ですね。



図解 話さず決める!プレゼン―15秒で納得させる“通る資料”のつくり方

図解 話さず決める!プレゼン―15秒で納得させる“通る資料”のつくり方

パワポで極める5枚プレゼン PowerPoint 2007,2003,2002対応 (ビジネス極意シリーズ)

パワポで極める5枚プレゼン PowerPoint 2007,2003,2002対応 (ビジネス極意シリーズ)



しかし、結局のところ、ガチの要約力が必要になるので、結局これですかね。頭を鍛えないと。



ロジカル・ディスカッション

ロジカル・ディスカッション



別のアプローチ


さて、別のアプローチとして、死ぬほどプレゼンを作るのが早い人がいます。例えばpapanda氏「Your mind is the scene of development」や、ryuzee氏も早いです。そして、死ぬほどページ数が多い。どうやってるのかは謎です。そして、私が知っている早さの頂点は、何と言っても丸山先生だと思います。濃厚で、素晴らしい調査に基づいた洞察は一級品。そしてプレゼン死ぬほど多い。

Special session maruyamaマイクロソフトは本当にオープン ソースに対してオープンか


この丸山先生は、たしか「複雑なものは複雑で、簡単に表現できない」と言っておられました。彼のアプローチの源はなんでしょう?恐らく、パワポ機能を活用したクイック&ダーティアプローチです。見た目よりも、早さ、内容で勝負というスタイルです。クイック&ダーティアプローチはコンサルでは有名な方法です。その最たる人が私が全ての面で負けてるなぁ〜と思う最強Guyの原田騎郎さんです。かれは、デザイン面は白地をつかいます。しかし、内容は濃厚で、シンプルで、余分なページがありません。そして、彼のセッションは満足が高い。これはまさに「クイック&ダーティ」のお手本です。




究極的には彼のスタイルが最も早くて、効果的で、楽なのかもしれません。先の市谷さんや、角さん、倉貫さんにしても過度なデコレーションはありません。一瞬キレイにみえますが、以外とシンプルです。長沢さんのメソッドそして、クイックアンドダーティ、そして、余計な物をつくらないことが一番私には必要なのかも。次回は徹夜したくないなぁ。。。



追記

上で参照した角さんが凄くいいコメントを書いてくれたので共有

私はまったく講演をしませんが、スライド作るときはマスタースライドのフォントサイズを40以上にするところがスタートかなあ


これは地味ですが強力テクかもしれません。私の字ばっかりのはフォントが小さいから40以下を禁止すると、いい制約になりそう。

他に、倉貫さんが、別のプレゼンに対する良エントリを書いておられましたので張っておきます!

技術者でも出来る、非技術者にも聞いてもらえるプレゼンテーションのフレームワーク | Social Change!


細谷さんからも、コメント。彼は文字ベースでがっつりかいてから、スライド化する様子。ちなみにスライドの内容がまたコレがいいし、
まとまっているます。適度な粒度で素晴らしい!

Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo 2013セッションメモ - Yasuo's Notebook
Scrum Alliance Regional Gathering Tokyo2013でテストについて話しました - Yasuo's Notebook


ちなみに西さんは

結局、ご自身が納得するかどうかだと思います。

うーむ。確かに至言だ。


次回はもっとマシにできるといいなぁ。


さらに追記

倉貫さんが私のエントリに対して、彼のメソッドを公開してくれました。
「自分の今の実力でプレゼン作る」というのはすっごく目から鱗でした。確かに探索に一番時間かかってるからこれは有効!さすが「要領」が素晴らしい!


シンプルで無駄のないプレゼン資料のつくり方 〜 能力の差を考えかたで凌駕する本当の効率とは | Social Change!