メソッド屋のブログ

米マイクロソフト Software Development Engineer 牛尾の日記です。ソフトウェア開発の上手なやり方を追求するのがライフワーク。本ブログは、個人の意見であり、所属会社とは関係がありません。

マイクロソフトのリモートワークが得意な人を観察して気づいた、たった一つのポイント

コロナウィルスによって、誰もがリモートワークを実施する必要があるようになりました。昔はインターナショナルチームのメンバーとして日本に住んでいましたが、今は同じチームのいるシアトルに移住してアメリカでエンジニアをやっています。正直なところ私はリモートワークより対面でコミュニケーションをとるほうが好みななのです。しかし、アメリカのマイクロソフトにいると、コロナが始まる前からそもそも通勤できる距離にないメンバーが居たり、同じチームのメンバーが別の国に住んでいたり、お客さんが別の国だったりということもしょっちゅう起こります。そんな環境のなかで、リモートワークが得意な人が共通して持っている、たった一つのポイントをご紹介したいと思いブログを書きました。

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リモートワークのつらさ

リモートワーク好きな人もいますが、私はできれば同じ場所で作業したいと思います。リモートワークをすると、視野が画面に限定されますし、チャットで誰かに相談しても、反応が返ってくるとも限りません。めっちゃ頑張って英語で説明をがっつり書いたとしても、スルーされることすらもしょっちゅうです。みんなで会議をしていても、高速な英語での応酬三昧で、誰かがしゃべり終えるのを待つ癖のある私はめっちゃ不利です。対面ならホワイトボードを使ったりして、いろいろやりやすいですが、画面の中に固定されるコミュニケーションで、ほぼほぼ音声だけを頼りに多くの人のいる会議で成果だすとか「つらすぎるんじゃーボケー」という感じです。シアトルに来てから友達になった私よりもずっとTOEICの点数が上のゆうさんがこんなことを言ってました。マジで骨身に染みるぐらい同感です。さて、こんなつらい状況のなかで、どうやって成果を出したらいいでしょう?

Can I have a quick call?

アメリカで働いている人でもリモートワークが得意な人とそうでない人がいますが、リモートワークが得意な人はほぼほぼ Quick Call をよくすることに気づきました。Quick Call というのは、1対1のビデオ(ビデオオフの場合もありますが)通話のことです。自分は、リモートのときは、定例とか、正式に招待された会議だけそういうことをして、あとはチャットとかでコミュニケーションをしていました。しかし、リモートワークが得意な人は、チャットとかも使うのですが、ものすごく頻繁(少なくとも日に1回ぐらいはあるペース)で、Teamsとかのチャットをつかって「Can I have a quick call?」とか言ってきます。自分がいまOKであるなば、「Sure!」とか送り返すと、向こうからコールがかかってきて1対1で話したり、画面を共有して一緒に作業したりします。最初は正直、「あつかましいおっちゃんやなぁー。」と思ってたけど、実際にやってみるとこっちのほうが劇的に生産性がよくて、自分の時間をも節約できることがわかってきました。だから今は私も困ったことや、つまったときは、すぐに「Can I have a quick call?」といって、すぐに1対1の通話を始めます。

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クイックコールの良いところ

正直なところ、リモートになると、対面の時より、みんなで集まるときの会議の生産性が良いように感じません。実際に成果がでるのは、個人個人の成果を出す作業にどれだけ時間を使って、それを生産的にできるか?ということが重要に感じます。ですので、みんなでする会議は簡単な進捗のシェアと、今抱えている問題のシェアだけというのが最も効率よく感じます。で、それぞれ、自由に作業をするわけですが、私のようなソフトウェアの開発者でも実際にコードを書き始めれる状態になればいいのですが、その前にいろいろコミュニケーションが必要になります。それがチャットだと、やっぱりやり取りに時間がかかって多くの待ち時間が発生したり、誰かが本来知ってたり、すごく詳しかったりすることでも、チャットで呼び出して反応してくれなかったら、待っていたりします。答えが返ってきたとしても、その答えをみて、次の質問が浮かんだりしてもどうしようもありません。またチャットで自分が抱えている課題を英語で説明しようとしても、伝わりにくいこともあるし、見てくれないこともあります。

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ところが、クイックコールを頻繁に使うようになると、上記の問題が全部解決します。例えば、コードを書いていてうまく動かない時があったとしても、画面をシェアして「Look at this」というだけで、相手は状況を理解してくれます。複数人がいる会議だと、自分がだけが理解できてない場面ではやっぱり会議を止めるのがつらいこともありますが、1対1だと、「Does it make sense?」と聞かれても「No. Could you tell me one more time?」とかいって聞き返しやすいです。私は Microsoft Teams を使っていますが、他のツールでも、自分のディスクトップの画面をシェアして、一緒に作業とかも簡単に今はできますし、そういったビデオ通話の機能がないものでも、例えば、PowerPoint や Word, Excel 、そして、VSCodeVisual Studio も、単体で、他のリモートの人と状況をシェアして一緒にコーディングやデバッグが出来る機能が備わっています。一人でうんうんうなるより、知ってる人とたとえ10分だけでも一緒にやるだけで、自分一人でやることを思うと100倍速いですし、チャットと違って、新しい質問が浮かんでも瞬時に答えが返ってきます。これ最高!

クイックコールされる側もよいことがある

さて、クイックコールをする側のメリットは十分にわかりましたが、される側はどうでしょう? 実はされる側も随分楽になります。なぜなら大抵のクイックコールはそんなに長くかかりません。オフィスにいて、「ちょお、教えてくれへん?」の感覚なので、この程度でものすごく楽になるのがわかります。都合がわかるければ、「Sorry, I'm not available. Are you available at 11 am?」とか返してあげれば自分がフォーカスしたいときに邪魔されることもありません。また、自分が、気軽にクイックコールを受け付けていると、自分が困ったときも相手が簡単にクイックコールを受け付けてくれます。しかも、クイックコールが無かったら、自分も相手に答えをチャットで書いてあげないといけないですが、伝わらないかもしれませんし、やり取りが発生して面倒になることも多いです。

クイックコールが文化になるといろいろはかどる

今のプロジェクトで経験したことなのですが、最初はこのようなクイックコールをするのは、リーダーのリチャードだけだったのですが、私含めて、みんなが徐々にクイックコールが楽だと気付き始めて、みんながやるようになりました。今では一日に何回もクイックコールをしています。そして、とても生産的に感じます。バグを探すのもわからなければ、すぐにチャットして、クイックコールするとすぐわかって、3分でクイックコールを切ったりもします。こんな風に、みんながクイックコールのことに気づいて文化になると、ホンマいろいろ楽です。ガチで楽です。だから、こういうことをシェアしようとしてブログを書きました。

自分的には常時接続より好み

個人的な意見ですが、私はクイックコールのほうが、常にチームの全員と接続している環境より好みです。せっかくリモートワークなのだから、正直だらだらするときはだらだらして、フォーカスするときはフォーカスしたいです。要は成果なのですから。あたまが疲れてきたら、ランニングに行ったり、筋トレしたりマンガ読みたいです。フォーカスして、他の人に話かけられたくない時もあります。もちろんこれは好みの問題なのでそれが悪いとも非効率とも思いませんが、私的にはだらしなくて、1日で成果の帳尻を合わせるタイプなのでクイックコール好き派です。

おわりに

今回は自分的には劇的に効果のあったクイックコールをご紹介しました。次回は英語環境下でのコミュニケーションのポイントでもご紹介しようかなぁ。