メソッド屋のブログ

米マイクロソフト Software Development Engineer 牛尾の日記です。ソフトウェア開発の上手なやり方を追求するのがライフワーク。本ブログは、個人の意見であり、所属会社とは関係がありません。

勉強したり、留学したりすればするほど、英語のレベルが落ちている現象を考察してみた

私は、現在米国でエンジニアをやっていて、もうそろそろ5ヶ月目に突入している。私の部門は、エンジニアでもお客様のところにいく部門なので、こちらのお客さんと会話をしたり、チームで開発することも多いけど、特にコミュニケーションで困ってはいない。もちろんもっとリスニングが良くなれば良いのになぁとは思うけど、業務に支障が出るほどではない。どっちかというともっとリーディングのスピードを爆上げしたいのが今の悩みだ。

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英語の実力が低下し続けているのはなぜ?

しかし、ふと思い起こしてみると、私の英語のレベルは下がり続けている。しかも勉強すればするほど。自分の体感としては、昔に比べると総合的な英語力は上がっているはずで、知っているフレーズも増えたし、リスニングの理解力も向上している。私の英語の勉強は、本格的に始めたのは、おっさんになってからで、自分で英語を独学で勉強した後、3週間、3ヶ月とそれぞれ2回ロンドンに短期留学して、その後外資系企業に就職してインターナショナルチームに配属されたので、英語ざんまいの環境になって、3年後に、USに移籍という感じのキャリアだ。語学学校に入学すると、最初にプレースメントテストというのがあって、レベルの判定があって、その人の実力にあったクラスに配属される。その結果が実に不思議な感じだ。

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私が独学で英語を勉強して、生まれて初めて海外に3週間留学した時に受けたプレースメントテストの結果は、Upper Intermediate だった。ちなみにインタビューでの会話のレベルは、Advanced と言われていた。1年間英会話学校に通って勉強したのち、次の年に留学した時のプレースメントテストの結果は、Intermediateだった。当時もなんで?と思ったのだが、3ヶ月の間に、Intermediate -> Upper Intermediate -> Advanced のクラスで終了した。 f:id:simplearchitect:20190515161921j:plain

さて、その後外資系の企業に入って英語漬けになって、USに移籍になった時に、リロケーションパッケージの一部で、オンラインの英会話学校のベネフィットがあったのだが、そのクラスのプレースメントテストの結果は、Pre-Intermediateだった。マジ、なんでやねん?って感じ。

自分の体感の英語力

自分が独学して最初に留学する前も、結構喋りはできていた。英語を日本語で理解しないとか、シャドーイングとか、発音練習とか色々やったけど、結構喋ることはできていた。ただし、表現はそんなに多くないし、英語の環境の経験がゼロなので、この時に今のレベルのところにぶち込まれたら対応できていたかはわからない。 自分の体感的に、大きく英語力が伸びたのは、3つのタイミングがあって、独学で勉強した時は、英語力の飛躍的な伸びを感じた(何しろ、全然英語ダメだったから)、その後、2回目の留学で3ヶ月英語漬けになったのも相当レベルアップした感があった。最後は、外資系企業に入って、同僚との会話が完全に英語になってから。最後のは、実力が伸びたというより、英語を使うのに慣れて、度胸がついたぐらいのものかもしれないが、ゴリゴリに実用になったので、ある意味レベルアップしたと言える。自分の体感的にはそうだ。 f:id:simplearchitect:20190515162224j:plain

アメリカにきてからは成長していないのを感じる

その一方で、アメリカに住むようになってから、もちろん日常は全て英語なのだが、正直なところ、英語力が伸びた感じはまるでない。先日も日本から来た日本人の同僚が「牛尾さんの英語力は正直あまり変わりませんね」と言われて、自分も「うん。俺もそう思うねん」と答えた。本当に正直そう思うのだ。アメリカに住んで、英語を使いまくっても、特に実力は向上しない様子だ。使っているだけでは、度胸がつく程度で、何か実力アップに繋がることをしないと成長しないらしい。もちろんアメリカ人の友達もいるし、お家にお呼ばれとかもよくあるので、家から出てないとかではない。

謎を考察する

このテストのレベルが落ち続けている現象と、自分的にはレベルが向上しているというこのギャップは一体なんだろう?一つ思い当たるのは、勉強スタイルを変えたことだ。私は、最初の留学までは、日本語翻訳にたよらず、CDや映画をリスニング、ディクテーションしたのち、シャドーイングを自分の脳に刻まれるまで繰り返しやると、勝手に口が喋るようになるというスタイルでやっていた。本も日本語訳はせずGraded readersという本を少しづつレベルをあげながら多読していた。つまり、大量のデータをぶち込んで、本能と反射で英語を使うというスタイルだ。最初の留学の時は、先生にものすごく英語を褒められたし、聞き返されることもほぼほぼなかった。その後、英会話学校に行って、日本語で学ぶのは反対だけど、英語で学ぶなら文法を勉強するのもいいなぁとか、英会話が学校の教材はよくできているので、学んだフレーズがすぐ使えるし、ネイティブもたくさん使うので、効率がいいとも感じて、シャドーイングの頻度が極端に落ちて、愚直に「勉強」をしていた。おそらく、この勉強スタイルの違いが今回のギャップを生んでいると想定される。ではなぜ? f:id:simplearchitect:20190515162412j:plain

自分的な分析

先に書いているように自分的には、英語力は向上していると思う。リスニングとかは明らかに向上しているので、例えば今Upper Intermediateの教材を聞くと初見でもシャドーイングができて理解できる程度にはできる。多分最初の留学の時はそこまではできなかったと思う。フレーズの理解力も向上している。ただ、プレースメントテストをする人がわの方を見ているとどうだろう。私の分析では、私は昔より「ミス」をすることが増えたのだと思う。昔のやり方だと、私は、過去に聞いたフレーズを精々単語を入れ替える程度で、過去に聞いたことのあるフレーズで、私の口から出るフレーズが構成されていたはずだ。だから表現が多くなくても、ミスが極端に少なかったのだろう。何しろ、自分が無意識でも口から出るぐらい繰り返したフレーズなので間違えもしないし、頭で考えてもない。一方、文法とかのテストも、感で答えた当たる感じだった。なんとなく間違ってるやつは気持ち悪いので、選ばないみたいな感じだ。だから、そっちのテストもそこそこ良かったのだろう。 f:id:simplearchitect:20190515162557j:plain  しかし、文法とかを勉強し始めたらどうなったか?というと、文法知識やフレーズに関しては、知識が大幅に増えているが、いざ口に出すと、そのフレーズを使おうとすると、シャドーイングしまくった訳ではないので、頭で考えて「作文」して喋ることになる。本能と反射ではない。だから、つい先日まで受けていた英会話のコースでも先生にいっぱい文法ミスを指摘されて、どうやって直したらいいと思うと言われたら、全て回答できる感じだった。知らない単語や表現もほぼほぼない感じだ。つまり、頭でわかってるけど、反射的に使えるほどこなれていないということなのだと思う。だから、プレースメントテストでは点数が落ちる一方ということだろう。

対策

あっているか、どうかわからないけど、自分的な分析の結果、一番最初の英語学習スタイルに戻すことにした。これからは、一切文法は勉強しない。全て、本能と反射で英語を使えるように鍛えていく。週2回程度の英会話では身につかない。毎日数時間をぶち込んで、徹底的に英語を体化していく作業が必要だろう。じゃあ、今までの努力はなんだったの?となりそうだが、多分今まで、英語を「勉強」した蓄積は、無駄ではなく、有効だと思う。問題は、「体化」のステップを怠っていたことだろう。具体的には、英語を音で理解して、反射的に理解して、喋れるよう、シャドーイングを死ぬほどやる、文法とかは考えない。(考えなくても喋れるようにする)リーディングも音読から再スタートで、文法は忘れて、体化に焦点を当てる。つまり、私が一番影響を受けている、英語は絶対勉強するな方式に戻すということだ。実際に、一番伸びを感じたのは独学した時なのだ。

今後の戦略

今後の戦略は、先に進みたいのは、グッと我慢して、まずは、Upper Intermediate の教材を使って、リスニング-> ディクテーション-> 英英辞書で意味調べ -> シャドーイングのプロセスを実施、その後-> Advanced -> Business English (Upper Intermediate)に進んでみる。 多分CDはこれぐらいやったら無敵になるだろう。昔やってた時はどのレベルでやればいいのかがわからなかったが、今は、自分が楽にできるレベルからスタートすることに決めた。インターネットで調べるとうまくいっている人は、無理なことはしていない。だから、ほぼほぼ意味がわかって、初見でもシャドーイングできるUpper Intermediate の教材だと、多分結構早くこのステップを終えられるだろう。Advanced は最初から最後まで通してないので知らない表現とかはありそうだけど、Upper Intermediateを復習したら相当にレベルアップしていると思う。その後に、チャレンジすると意外とすんなりいける気がする。最後のBusiness English は結構(勉強は)やったけど、これを飽きるほどシャドーイングして体化させると、仕事上の英語はほぼ苦労することはなくなりそう。その後、ガチの英語力に移行するために、映画で同じプロセスを繰り返して、最終的に、英語は絶対勉強するなで紹介されてるけどやったことがなかった、英字新聞のメソッドもやってみよう。 f:id:simplearchitect:20190515162820j:plain

最後に

ちなみに、この分析は、ADHDな私なので、一般の人に当てはまるかは知らない。英語を勉強して実力をあげている人はたくさんいるので、私のケースはこうかもしれないという考察に過ぎないし、実際やってどうなるかもわからない。ただ、自分の感覚的には、これでいけるという確信に近いものがある。英語を勉強している時にはなかった感覚だ。たまに、こっちにいると、ネイティブからも、「例外的に英語ができる日本人」という人がたまーにいて話を聞くことができるのだが、そういう人にコツを聞くと、要領を得ないことが多い。「んー。特に勉強もしてないけどなぁ」とか、「楽しいから、会話の中で知らない表現があったら、5分後にはそれ使ってるわ」とか、我々からすると「なんでやねん」という感じなんだけど、才能ある人はそんな感じなのだろう。つまり、ある程度仕事で使えるレベルではなく、ネイティブに混じっても遜色ないレベルになるためには、「頭を使っている」状態は好ましくないのだろう。結果はわからない、ただ、今は、英語を使いまくれる環境にはいる。こうなったら、昔夢見ていたネイティブと遜色ないレベルというやつを目指してみよう。そしたら、仕事でも超絶アドバンテージになるはずだ。なぜならネイティブは少ないし、日本人は、ネイティブの国々の人の文化とは真逆にある文化なので、いろんな価値が出せるはずだ。

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ちなみに、今は昔の方式に戻しているが、何時間でもやれるし、楽しい!この調子でガンガンやって試してみよう。ネイティブ並みになってやるぜ。そしたら、プログラミングとか、技術の勉強も超絶楽になるはずやわ。