メソッド屋のブログ

米マイクロソフト Software Development Engineer 牛尾の日記です。ソフトウェア開発の上手なやり方を追求するのがライフワーク。本ブログは、個人の意見であり、所属会社とは関係がありません。

アジャイル的英語勉強法テロ書籍の発売の裏話について

アジャイル的テロ書籍の発売


今日3/4発売なのだが、日経BPさんから、英語学習に関する書籍を出版させていただいた。タイトルは「ITエンジニアのゼロから始める英語勉強法」というタイトルだ。日経BPさんで、尚かつとってもいい編集者の皆さんに編集していただいた。一見真面目な書籍っぽいが実は中身はテロだ。オフィシャルな場では書けないので、ここで裏話を書いておこう(笑)そして、この本が何故テロなのかを。

ITエンジニアのゼロから始める英語勉強法

ITエンジニアのゼロから始める英語勉強法


実はこの書籍、企画段階では「アジャイル王子の華麗なる英語勉強法」というタイトルだった。アジャイルの仲間に凄くいいレビューをしてもらって完成したのだが、大手の日経BPさんということもあって、アホなタイトルは最終段階で真面目なタイトルになった。しかし中身はテロ、いわば、ウォーターフォール型英語勉強法を紹介したものではなく、まさにウォータフォールに対するアジャイルのような勉強法を紹介したものなのだ。


ウォータフォール型勉強法


 ウォータフォール型勉強法は皆さんもご存知だろう。我々が中学ぐらいから勉強してきたやり方だ。英語の読み、書き、単語、文法中心の日本語訳を勉強するようなやり方だ。最近は改善されつつあるが、ちゃんと勉強した人でも読みは出来ても「聞き/しゃべり」が出来ないという人が圧倒的に多い。できても「あーうー。じすいずあぺん」みたいな感じでなんともたどたどしい。だって、英語の先生すらコテコテの日本人なまりだったんだから。(少なくとも私の頃は)



 だから英語がちょっとでもまともにはなせるようになるためには、勉強後海外に行ったり、外国人さんと合う機会を作るしかないという感じだ。しかし、今でも多くの勉強法がどっちかというと、長文読解、文法、語彙などの日本語訳による「意味」中心の勉強法だ。だから海外行ってない、外国人と接する機会がない人で英語を流暢に使う人にはほぼお目にかかった事が無い。(あ、1人だけ。彼女は日本でも学校で英語しかしゃべったら行けない学校に行ってるらしいw)


アジャイル型勉強法


 そりゃ私だって、海外にしばらく住んで英語をマスターしたかった。それがやっぱ一番いいと思う。でも金もなければ仕事しているので、勉強する時間もがっつりとれない。金もないねん! ついでにいうと私は人見知りだ。外国人の人と友達になろうとも、まず日本人でも友達少ないねん!といいたい。高いお金はらって英会話行ってる人でもあんまし上達してないみたいやし、、、。とそんなときにであったのが、アジャイル型勉強法だ。これが私が発見したわけではなく、既にそういう勉強法が沢山あったのだ。そして効果が強烈っぽい。沢山あったから、アジャイル開発宣言と同じようにそれを整理して、原則/プラクティスとして整理してみたのが私の本だ。


 アジャイル勉強法系のAntimoonという勉強法をアレンジして日本語を勉強した偉大なる漢、勝元氏がいる。AJATT | All Japanese All The Time | You don't know a language, you live it. You don't learn a language, you get used to it.彼のトークの様子を見てほしい。テレビに出てるタレントだって、ここまでスムースじゃないのに、この人は勉強しただけやのに日本人みたいや。バイリンガルじゃないやつがこうなれるなんて、衝撃的だった。ちなみにこの人は一切文法勉強とかしてないらしい。




アジャイル型勉強法の特徴


 古くはシュリーマンの方法、英語は絶対勉強するな、そしてantimoonなどその他の書籍でも、意味/文法優先ではなく、音や大量インプット型、音読などで、赤ちゃんが日本語を覚えると同じような過程で勉強する方法を採用するのが増えてきた。だって、我々は日本語を覚えるときに文法や単語丸暗記なんてやった覚えがないし、日本語訳なんかもやった覚えが無い。ただし、ネイティヴは24時間その母国語に囲まれている。こういう制限を理解した上で、上記の勉強法はさまざまな工夫をこらしているのだが、私はこの書籍でその共通原則を整理して、有効だったプラクティスの具体的なやり方を説明して、多くの人に活用してもらえないかと思ったのだ。




アジャイル型勉強法のメリットとデメリット


 アジャイル型の勉強法は、とにかく読み/書きよりも、先に聞き/しゃべりという感じなので、英語を英語のままで理解して反応する「英語脳」をさっさとつくることができる。もちろん時にあんまり正確じゃないが、とにもかくにも喋れるようになってコミュニケーションができる。そして、自分の守備範囲以内なら、結構文法的にもなかなかで、ナチュラルなトークができるようになることと、ネイティヴと話していても、守備範囲いないの反応速度は相当速くなる。これは自分がやってみて実感したことだ。だから私が1年間外国人の人とほぼ合う事無く(実際は1日だけ)でAgile Conference 2011のワークショップセッションを英語でやれたのだ。だって「守備範囲」を限ればかなり喋れるのだから。


 一方デメリットに関しては、「守備範囲」を出てしまったらイマイチになることだ。アジャイル型でこのままじっくり勉強して守備範囲を増やせば問題なくなるだろうが、慣れによる方法なので時間がかかってしまうのだ。筆者は自分が実験台としてこのプロジェクトをやっているので、アジャイル型勉強法原理主義でやってきたが、ここになってそういうことに気づいた。だから、書籍発行後の気づきやフィードバックはこのブログとかでフォローしていこうと思う。特に最近は「文法」に対して面白いフィードバックがあるので、このブログ及び、日経BPさんのサイトでもちょっとだけ短期連載をするのでフォローしてみたい。



アジャイル型勉強法を広めたい


 このアジャイル型勉強法はまだまだ少数派だ。英語のビジネスは巨大だからみんな黙っているのかな。でも、多くの人が困っている「ペラペラさ」ということに関しては本当にイケてる方法だと思う。私の英語能力はまだまだだけど、それでもこれで良かったなと思える。英語で考えて英語で反応できるし、守備範囲が限られているし、表現もまだまだやけど、大抵しゃべりとか、発音とか反応速度は大抵褒めてもらえる。そして、結構ヨーロッパに行くととにかくしゃべれるけど、じつは表現や文法がイマイチという人が結構いる。でもそういうひとでもまずコミュニケーションできる。そして、そのあと上達して行くのだ。私はそういう方が語学の学習として自然なんじゃないかと思う。特に、英語のトークに苦しんでる多くの人々に少しでもヒントになれば嬉しい。逆にしっかりとデメリットとその改善方法もブログでフォローしていきたい。



自分にとって適切な書籍がなかったから


 私は英語の専門家じゃないし、今の私の英語レベルは正直まだまだなのだ。しかし、私がこの本を書いた理由はいくつかある。こういうアジャイル型の勉強法を広めたかったこと。そして、自分が英語勉強していていつも思っていたのは、最初の自分のレベルの低さだ。多くの英語の勉強法の本は賢い人だったり、既に英語を学生や幼少の頃からやってたりする英語のプロが書いている。しかし、私は英語の成績も暗黒で語彙もないし、文法も忘れたし、UnixのManすら読めないぐらい英語が出来ない人だった。そこからのスタートに合った内容の本はほぼほぼ無かった。あっても、ちょっとしか実力が向上しそうにない基礎的なものばかりだった。(当たり前だけど)。私は向こうの技術者とコテコテにディスカッションしたりしたかった。
 逆に高度な英語力を目指したやつは難しすぎたり、むっちゃくちゃ時間が必要だったりで、大抵はその筆者の人が上手く行ったやり方が書いてあるので自分のレベルにはあっていなかったりした。仕事があるなかで、読み、書き、聞き、しゃべりいろいろあるのなかで総合的な英語の力を伸ばすにはどうしたらいいだろう、、、


 そういうことがさっぱりわからなかったので、そういう初心者の気持ちがある今の私がそういうことを整理してみようとおもったのだ。私はメソッド屋だから、そういう整理は出来るかもしれない。そして、多くの人がもっと英語の力を伸ばして楽しんでもらえたらなと思うのです。


だからテロ


 というわけで、二大流派の勉強法のうち、あまりIT業界で広まっていないと思われる、裏側の流派を紹介したものだ。多分オフィシャルには受け入れられない内容だと思う。だからテロなのだ。だって、最初のうちは意味すらあまり重視しないのだから。そして、筆者自身がまだまだ英語勉強中で筆者自身が実験台であることも。だからこそ、生の成長過程や実験結果を皆様にお届けできるかなと思っています。(大抵は筆者が完成してからなので、途中どうやったんか?ってわからないですから)ちなみに本には私の七転八倒の記録も載せましたw


というわけで、数日後にまた文法に関するフィードバックを書きます。 みなさん良かったら買ってくださいね。


繰り返しますが、ペラペラは簡単です。英語力を上げるのは時間がかかるけどね!