メソッド屋のブログ

米マイクロソフト Software Development Engineer 牛尾の日記です。ソフトウェア開発の上手なやり方を追求するのがライフワーク。本ブログは、個人の意見であり、所属会社とは関係がありません。

ワインバーグカンファレンス、または彼の熱狂的読者の人間学

今週、ワインバーグカンファレンスが開催された。


一応私は主催の一人なのですが、なんと会場を開けただけで、懇親会しかいけない、、、という
ことになってしまいました。ある意味自業自得だから、仕方ないです。


そうするとどうでしょう。平鍋さんのブログくっしーさんのブログを見てるととっても本編がとってもよさそうで、平鍋さんのプレゼンも良さそうだし、ワインバーグさんへのビデオレターの出来もとってもいい。当日発表する予定だった、私のワインバーグさんへの愛をここで語りたいと思います。


その懇親会で、平鍋さんに「ワインバーグさんの本でどうかいてあったとかそんなのはどうでもいいから
どう役立ったかを教えて欲しい」というルールにしたがって考えてみます。(当日はうまく答えられなかったので!)


ワインバーグ氏との出会い


 私がワインバーグ氏の著書に触れたのは、仕事仲間から勧められた「ライトついてますか?」だった。
でも、正直いうと当時の自分にはあまりピンとこなかった。まだ当時の自分には早すぎたのかもしれない。

 その後Agile2003でなんと本人が自ら、向こうから話しかけてきてくれた。私はあまり知らなかったので「あの有名なワインバーグさんですか」とかそんな程度の話しかしていない。

なんと今からしたら勿体無いことか。



ワインバーグ氏の著書にハマりゆく自分



 Agile2003から帰国後、ワインバーグさんってどんな本書いているんだろうね〜と想って読んでみたのがこの本。

コンサルタントの道具箱

コンサルタントの道具箱

 とっても読みやすく、なおかつ衝撃的だった。これは技術系コンサルタントの本なのに、書いてあることは人のコトばかり。
ワインバーグさんの書籍はいつも面白い「法則」が沢山紹介されている。

 最初に衝撃的だったのは「読む価値の無い物は読むな」というお言葉。読み始めて「しょーもないなぁ、、、」と思っても
キバって読んでいた本をこの言葉を知ってから、一瞬で読むのをやめるようになった。速読より500倍ぐらい効率化UPだった。

 他にも衝撃の言葉で、私のコンサル人生にとっても役立っている言葉は沢山あるのだが、全般的に衝撃的だったのは
道具箱の多くの内容は、他人に対してどうするとか、メソッドとかそんなものではなく、「自分を知る」「自分の楽にする」
といった「自分」に対する内容だったということ。これは当時の自分にとっては衝撃的なこと。自分には厳しく、完璧主義
な自分にとっては、ワインバーグさんほどの人でも、、いやだからこそ、自分を楽にする必要があるんだなぁ、、、という
コトを実感して楽に楽しく、そして知恵がついた気がした。本当にスゴイ本。

この本はMore Secrets of Consulting だったので、Secrets of Consultingを買ってみた

コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学

コンサルタントの秘密―技術アドバイスの人間学

コンサルタントの秘密はありえないぐらいの名著。彼の著書で一番凄いものと言えばコレ。自分に何が一番役立っているか?というと、トレードオフ療法」である。このトレードオフ療法を読んでから、いつも偏って物事を判断し、決めつけていた
自分が代わり、アジャイルでないとイケないというかわりに、「それはトレードオフですからね」というのが口癖になった。


私の視点が少なくとも2つになった瞬間。物の見方が以前よりずっとフラットに見ることが出来るようになった瞬間。


そして、「一見どうみえようとも、それはつねに人の問題である。」これもいつもコンサルティングで問題を見るときに考えていること。コンサルティングの現場でよく使うのは「ゴーマン法則」直せなかったら機能にしてしまえというやつだ。こんなのは、技術者魂に反する感じがするが、コンサルティングの現場でとっても行き詰まっていいアイデアがでない時に、「ゴーマン法則」を思い出すと思っても見ない活路を見いだすことができる場面が多くあった。

また、「ワインバーグふたごの法則」というのもある。コンサルタントをやっていると、すぐに結果がでないととっても不安になるときが多かったが、ワインバーグ「大抵の時、どれだけ頑張っても何も生まれない」と言い放った。確かにそのとおりなのだ。毎回生まれるわけじゃない。これを聞いて衝撃と共にとっても楽な気分になったのを覚えている。

 人間はやはり「自分で深く、深く気づいたものでしか、変われない」物だとおもう。逆にそれを頻繁におこさせる、ワインバーグの著書は本当にすごすぎる。「オルデンハウザー婦人」の話によって、自分が歴史に学ぶことをしって、歴史の1ページにならないようにすることを学んだ。もう、役に立つことの宝庫だ。是非皆さんも読みまくって欲しい。何回読んでも違う発見がある。


役立つ…どころか、ワインバーグ著書の人生への影響



スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学

スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学

最も凄い本がコンサルタントの秘密だが、最も私の人生を変えたのがこの本。この本により、コンサルタントにそして、技術者にとって最も重要なスキルが自分の「自尊心」を成熟させることとしった。コンサルタントにとって最も重要ものは自尊心だ。自尊心さえ成熟すれば、本当に、本当に大抵の問題は解決してしまう程凄いスキルなのだ。そのことに気づいたのがこの本を読んで、自分で実感してから。

ここに載っていた「サバイバルルール変換を学ぶことで、自分が大嫌いだった自分が、一瞬で「自分も他の人程度にはわるくないな」と思えるようになったのだ。過去完璧主義で「常に役に立つ人間でなければならない」と切羽詰って苦しんでいた自分が、人生で初めて「楽」な気分になれたのだ。これは感じた人しかわからないと思うが本当に超強力なことだ。

 その後私は、ワインバーグ氏の著書に出てくる最高のセラピスト「ヴァージニアサティア」を調べたり、セラピーや心理学を実務家から学んである程度実践できるようになったが、いろいろ勉強して、実践してもやはり、「自尊心」こそすべての中心ということを深く感じる。つまり、彼がいなかったら私は今もまだ、完璧主義に苦しめられて、パフォーマンスを落として、人生を生きにくい物にしていただろう。そういう無駄なストレスから開放されると、自動的にパフォーマンスは向上し、冷静なものの見方ができるようになり、対人トラブルも減少し…と本当にいいことばかりだ。そして、私は今はそこそこの自尊心を持っている。つまり彼の言った「カーネギーの人を動かすを読んでも、腹が立たない程度の自尊心」を持ち合わせている。


つまり、彼は


私の人生を変えた


のだ。実を言うと、私は彼の熱狂的ファンでもあるのだが、実は彼は私の人生の恩人なのだ。だから他の書籍の著者の方とはレベルが違うのだ。


他の書籍も素晴らしいが、今日はコレぐらいにしてこう。もうブログにしては長すぎる。

懇親会だけ出たが、ワインバーグカンファレンスに参加する人の、濃いこと、濃いこと。
ワインバーグさんの著書は人間のこと、コミュニケーションの事が多く載っていてしかも濃厚。だから、参加者もそういう洞察が深い。


ある参加者が「オレンジジューステスト」や「…今のところは」というだけでワインバーグの事と通じるのがたまらなく気持ちいといっていた。わしも同じ気持。話をすると、「視点」「認識」の話だとかかなり深いはなしが酌み交わされ、濃度の濃い時間が過ぎて良く。そして、某G社のワイバーグクレイジーの洞察力も超強力な物だ。学生時代からワインバーグに傾倒なんて、どんなやつやねん!もちろん最高や!


参加者のある人とも、セラピーとかコーチングとか沢山勉強したけど、結局ワインバーグで十分やねんなぁ。ワインバーグに結局帰ってくるといってたが、ほんまそれ同意です。そういうものよりも深さを感じてしまう。


磨くべきはコミュニケーションスキル


カンファレンスが終わって本編にあった平鍋さんと企画した、ワインバーグさんのインタビューを紹介するセッションのプレゼンがあったが、これがまたいい内容。特にこのスライドが心に残った。

言語や技術者じゃなくて。コミュニケーションの仕方、
考え方、他の人達との仕事の仕方、それらを学べば、言語
や技術者シンプルな事柄。逆にそれがないと、言語や技術
がうまく活用できないよ。


このインタビューと平鍋さんのピックアップが本当に絶妙ワインバーグさんを本当によく表している。さすがやわ。

上の引用は、今経営をして、営業とかする機会が多い自分が本当に実感すること。技術がいらないわけじゃもちろんないけど、コミュニケーションの仕方、考え方とかをうまくやるためには本当に時間がかかる難しいスキルだと思う。そして、これほど強力な技術はないと思う。自分の基板(自尊心)を整え、自分を知り、他人を知る、人間はそんなかっこいいもんじゃないことも知る。コミュニケーションのうまくするやり方を学ぶ。この技術をナチュラルで持っている人は、大抵コンピュータエンジニアではないのだ。


逆にこのスキルを時間をかけて獲得すると、本当に凄いエンジニア/コンサルタントになれると思う。


今の自分のテーマは「コミュニケーションの達人になる」第一歩として「トークの魔術師」をまず目指している。相手の期待や価値観、考え方を如何に知るか、そこにお客様が欲しいいものをどのように渡していくか、相手の事を理解して、わかってあげて、自分の言いたいことが相手に着実に伝わるスキル。これらの「スキル」は説明は簡単でどこの本にも書いているが「実践」は本当に難しいし、時間がかかる。何しろ普段は無意識にやってることなんだから。

今回このカンファレンスを企画したのは、自分の「恩人」のワインバーグさんが末期ガンにかかって危ないと知ったから。彼がいなくなるなんて考えられなかった。英語力を鍛えて彼のセッションを受けて、直接お礼を言いたい。そう思っていたのに、それが叶えられないと思うと、いてもたってもいられなくなって、つぶやいたら、平鍋さんやくっしーが「やろう」と言ってくれた。わしはなんにも出来なかったが、彼らが素晴らしい会を実施してくれた。


本当に感謝だが、特に平鍋さんには人生の重要な時点で何故か自分をいつも助けてくれる。自分が違う方向にいったら何故か平鍋さんがでてきて、修正してくれる。


ワインバーグさんは幸い手術が無事成功してすっごく嬉しい。彼が死に直面死ていると知って、自分が彼のセッションに行けないことを知ったときにおもったこと


私がワインバーグになりたい。


自分を救ってくれたワインバーグさんに今度が自分がなるんだ。これこそが、自分のコンサルティング人生のゴールでやりたいこと。


ワインバーグさん本当にありがとう。この言葉では言い尽くせないが、本当にあなたになりたい。


彼のように濃厚で、彼のように人に本当の影響を与えられるような人になりたい。


彼はTwitterに復帰したし、是非彼のリーダーシップセッションを受けて彼にお礼を言いたい。


来てくれた皆さん本当にありがとう!

※わしのビデオレターは明日でもとります。今日は無理やったわ。