メソッド屋のブログ

米マイクロソフト Software Development Engineer 牛尾の日記です。ソフトウェア開発の上手なやり方を追求するのがライフワーク。本ブログは、個人の意見であり、所属会社とは関係がありません。

ソフトウェアエンジニアと方向性

最近SIの業界がどうもしぼんでいる気がする。


ソフトウェアエンジニアとしては、業界がしぼんでいるようでちょっと嫌だったのですが、よくよく考えると、今までが「バブル」だったんじゃないかなぁ。なんて最近は思っています。


今までは、とにかく人手が必要だったので、技術とか関係なく、とにかく多くの人がプログラマになりましたが、近い将来は技術の進歩によって、今よりコーディングや人手の必要な量が減ってきて、「バブル」的に膨れ上がっていたエンジニアの数は少なくなるのかなぁと思っています。しかし、プログラマが要らんか?というと全くそんなことはなく、他の業界でも「技術者」が要らんようになるなんてことは無いわけです。


だから今後は、他の業界のようなイメージでプログラマ等の技術者は、ソフトウェアエンジニアリングや、コンピュータサイエンス等(もちろんアジャイル的な新しい考え方等も)をしっかり理解した「ちゃんと作れる人」と、「技術とその組み合わせを理解しながらも、魅力的な商品を企画できる人」に分かれるのかなぁ。と思います。車とかを考えてもお客様は「この車の製造プロセスが最高」とは言わず、車の品質が一定以上なのは「当たり前品質」になっていて、「この車の加速感がいいなぁ」とか「あの車カッコいいよなぁ〜」なんて思って物を買うわけです。


前者の人は「左脳」的な能力が強い人で、仕組みをしっかり理解した上で、緻密に技術をしっかり理解して、しっかり品質の良いアプリケーションを作れる人が必要だと思います。細かい体系を整理して把握できるような人です。


後者の人は「右脳」的に「全体感」をつかんで、作ると言うよりか、「使う/利用する」といった技術力が高くて、全体像やそれを使ったときにメリットや、どうビジネスに活かせるか、その素晴らしいアプリケーションを「どう見せるか」という事が重要になってくるでしょう。


 そうすると、「使う/利用する/運用する」技術力と、結構周囲ではやっているユーザビリティ/デザイン」と言う要素も重要ですし、「要求開発」的な能力も必要ですし、そのアプリケーションの価値を実力通りにつたえる「マーケティング」的な能力も必要になってくるかなぁなんて思っています。今まではアプリが「QCDを達成すればOK」的などころが如何に価値を出すかとか、使いやすいかとか、さらには「そのアプリを使った人が、感動を得ることができるか?」なんてレベルまで行けたらいいなぁと思っているわけです。(そんなのが匠のアプリなんかなぁ)


 最近結構「マーケティング」に興味があるのですが、そんな中で読んだ本のうち、ちょっと視点の違う面白い本があったので紹介したいと思います。

マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?

マーケティング脳 vs マネジメント脳 なぜ現場と経営層では話がかみ合わないのか?

 この本は「マーケタ―」と「経営者」が各トピックに関してどういう思考をしがちか?という事をいろんな事例を交えて紹介してくれています。この本は「マーケタ―」の方が書いたので、かなり「マーケタ―」の方が優位な書き方になっていますが、自分的にはその事例を「なるほど〜」と興味深く読ませていただきました。


エンジニアの人は自分も含めて「マーケタ―」と「経営者」だと「経営者」系の発想をしがちだと思うので、その逆の発想がどんななのかを知るのはとても興味深いことです。筆者の人が、各企業にプレゼンに行って負けて「採用されなかった」アイデアを「自分だったら
こうしていた」というのも本当に面白い。


自分の脳の性質を考えると、どう考えても「右脳」タイプの方が得意なので、そっちのエンジニアになってみようかなぁと思っています。技術的には、「使う/利用する/運用する」系の技術力+つなぐコーディング力も高めななぁ。なんて思っています。…といいつつプログラミング的には、モナドと格闘してたりして…。